避けるべき禁止用語と表現
配慮を忘れずに
介護記録は現場の介護士だけでなくケアマネジャーや医師、理学療法士、利用者のご家族などが読みます。多くの人が読む資料だからこそ、その内容には十分に注意しなければなりません。避けるべき禁止用語や表現がありますので、事前に知っておきましょう。
介護サービスは利用者が快適に日常生活を送るために提供するものであり、その内容を見直すためには適切に介護記録を残さなければなりません。介護記録には利用者の様子や日々の生活についての情報が客観的に記されています。プライバシーに関することや一般的にはわかりにくい表現を用いて記録する場合もありますが、可能な限り誰が呼んでも理解できる内容でなければなりません。誤解や不安を与えるような表現は避けるべきです。
侮辱表現
介護記録で特に避けなければならないのが侮辱表現です。スタッフ同士で情報共有する際にも注意してください。「ボケ」「しつこい」「勝手に」などの表現は利用者の尊厳を傷つける人格を無視した侮辱表現です。介護記録には客観性が求められるので「ボケ」といった表現では具体的な様子をイメージすることはできません。「しつこい」「勝手に」といった表現も、あくまでスタッフの主観であり客観性が失われています。こういった曖昧かつ侮辱的な表現は絶対にいけません。
指示用語
利用者に何かしらの行動をしてもらうために声をかけた際に、「○○をさせた」「促した」といった指示や命令の印象が強く残る表現は避けてください。指示や命令を連想させる表現を使うとまるで介護士と利用者が上下関係にあるような印象を受け、それをご家族が読んだ際に不安や不満を感じる可能性があります。「○○してはいかがですかと声をかけた」「○○をおすすめした」などと、対等な関係性であることを示す表現にしてください。
専門用語や医学的用語
スタッフ同士であれば問題ありませんが、それ以外の人は専門用語を使われると記載されている内容がわかりません。例えば、うとうとした意識低下の初期状態を「傾眠」といいますが、一般の人には馴染みのない言葉でしょう。そのため、傾眠が見られた際には「ソファで気持ちよさそうに20分ほどうとうとされていた」などと表現するようにしましょう。
また、医学的用語は医師の診断を根拠に使用してください。「腹痛」や「頭痛」は状態を示す用語なので問題ありません。しかし、高熱や咳の症状があった際に「肺炎」と勝手に断定してはいけません。その他にも「骨折」「打撲」「胃腸炎」などの医学的用語は安易に使わないようにしましょう。医師の診断がない場合はありのままの状態を正確に記録し、医学的用語は使わないようにするのが鉄則です。